検索
  • 丹 隼人

朝日新聞に掲載されました

更新日:2月27日



ココナツ、夢かなえる果実に フィリピンの子に教育を


東南アジアの貧困を目の当たりにして、和歌山市西庄の丹隼人さん(27)は思った。自分はサッカーをやることも大学へ進学することも好きに選べた。世界には選べない子どもたちがいる。これって絶対に間違っている。ココナツを使った支援を始めることにした。


丹さんの経歴は鮮やかだ。近大和歌山サッカー部のフォワードとして第88回全国高校選手権大会に出場し、主将も務めた。米シアトルの大学に進み、グアムのホテルや大阪の外資系ホテルで働いた。


社会人6年目のある日、むなしくなった。給料は遊び代に消えていくばかり。稼ぐのはなんのため? そもそも幸せってなに?


2020年2月、東南アジアへひとり旅に出た。タイ、ラオス、ベトナム、カンボジア……。そこには食べるのに精いっぱいで、子どもの教育どころではない人びとの暮らしがあった。


「自分はやりたいことを自由にさせてもらっていた。夢って、小、中、高校と進んでいく中で定まっていきますよね。でも現地の子どもたちは夢が固まる前に型にはめられている。選択肢があることは当たり前じゃない」


1カ月後に帰国し、いろいろ調べた。現地に多いココナツを使えそうだが、でもどうやって? 大使館やら貿易会社やらあちこちに相談したが、あしらわれた。昨年10月、「ココナッツ専門店エースココ」(https://www.ace-coco.com/)をつくり、フィリピン・マニラのココナツ工場から健康食品のココナツオイルを取りよせて売る事業を始めた。


スーパーや道の駅に置いてもらい、実演販売で巡回し、「やっと売れ始めました」。といっても事務所は実家で社員は丹さんひとり。それでも、月10万円に届かない売り上げの一部を、京都と福岡のNPO法人を通じてフィリピンの貧困家庭に教育費として届けている。


かけもちで飲食店アルバイトもしている丹さんはさらに考えた。寄付は一時的なもの。継続的な支援をどうしよう。思いついたのがクラウドファンディング(CF)だ。目標額は20万円。フィリピンの母親たちが働く場を整え、ココナツのシュガーや酒、リップやボディークリーム、殻を加工した雑貨を作ってもらい、これらをフェアトレード(公正な価格での取引)で購入する。現地に経済の循環を生みだし、子どもへの教育投資も永続的なものにすることを狙う。


丹さんの「ココナッツで『子どもに教育を受けさせたい!』という母親たちの願いを叶(かな)えたい!」は、CFサイトのCAMPFIRE(キャンプファイヤー)内に近く開設する。問い合わせは丹さん(電話050・5873・7816、メールacecoco.tan@gmail.com)へ。(下地毅)


2021年2月25日